数ある由来の中で、鳴き声が元だというのが一般的です。
「カッコー」と鳴くカッコウや、「ヒーヨ」と鳴くヒヨドリはまだわかりやすい例ですね。
しかし、ウグイスの鳴き声といったら、「ホーホケキョ」や「ケキョケキョ」ですよね。
「ウグイス」にはどうにも聞こえないのは、それが現代語だからだと言われています。
鳴き声から「ウグイス」という名前になった?
300年程前に新井白石が執筆した書物の中で、「う」は「ふ(生)」から転じ、「す」は「巣」からというように書かれています。
つまり、葉が生い茂った藪の中に巣を作る鳥という意味です。
これはウグイスの生態から考えられた由来と言えますが、鳴き声から名付けられたという説の方が有力とされています。
由来は古い時代の言葉、読み方から
鳴き声からという説は二通りあります。
奈良時代や平安時代の頃では、ウグイスは「うぐひす」、または「うくひす」と表記されていました。
当時は現代と違って、「ふくぴちゅ」に近い発音だったと言われています。
大分、鳴き声に近いと思いませんか?
もう一つは、鳴き声を「ウーグイ」と受け取っていたという説です。
最後の「ス」は接尾語で鳥を意味しています。
つまり、「ウーグイ」と鳴く「ス(鳥)」ということです。
「ホトトギ」と鳴く「ス」、「カーラー」「カラー」と鳴く「ス」となれば、納得できるのではないでしょうか?
ちなみに、鳥の名前の最後に「ス」がついているのが多いのは先程も書いたように「鳥」を意味しているからですが、「メ」がつく鳥も多いですよね?
「スズメ」が代表的ですね。
これも「すす(ちゅちゅ)」という鳴き声が元です。
「メ」は小鳥や群れを成す鳥を意味する接尾語になります。
鳴き声の受け取り方で違う名前に
春によく鳴き声が聞こえることから、春告鳥(ハルツゲドリ)、春鳥(ハルドリ)、報春鳥(ホウシュンドリ)と呼ばれることがあります。
「鶯」という中国から伝わった漢字の他に、平安時代には「春鳥子」という漢字があてられたこともあります。
同じく平安時代に作られた古今和歌集では「ケキョケキョ」という警戒音を「ひとくひとく」と受け取っている歌があります。
「ひとく」は「人来」、つまり「人が来るぞ」という意味にしているのです。
このことから人来鳥(ヒトクドリ)という名前も生まれました。
現代で広く知られている「ホーホケキョ」は江戸時代頃からになります。
「法、法華経」と聞きなしたのがきっかけで経読鳥(キョウヨミドリ)と呼ばれ、特にはっきりとそう聞こえる鳴き声のウグイスは経文の無尽意菩薩にあやかって「ムジドリ」とも呼ばれました。
漢字は読み方とは違う由来
次は「鶯」という漢字に注目してみましょう。
下の部首は皆さんご存知の「鳥」そのものを指しています。
上の部首は「栄」や「蛍」などの冠の古い形です。
火が二つ並んでいる形の意味は、その形の通りに火が盛んに燃えている様子や、周りが明るく照らされている様を表わしています。
自らが輝いて周りを照らす「蛍」は良い例ですね。
このことから転じて、都市や文明が著しく発展する様子を表わした「栄える」や「繁栄」などに使われています。
もう一つ意味があります。
何らかのものの周りをぐるっと輪っか状に囲ったり、とり巻いたりしているという意味です。
私達のよく知っているうぐいすにはそのような特徴はありません。
この「鶯」という漢字は中国から入って来ました。
中国に生息しているうぐいすは日本のとは違った種類で、色も大きく違います。
日本のうぐいすは全体的に茶色っぽいのですが、中国のうぐいすは地の色が鮮やかな黄色で翼や頭の一部に黒い部分があります。
黒い色の線が頭部を一周しているように見えることから「鶯」と名付けられたというのが有力な説です。
この漢字が日本の「うぐいす」にあてられたのです。
まとめ
鳴き声を元にして名前を付けるのはわかりやすくて良いのですが、時代が変わるにつれて読み方や、鳴き声の聞き方が変わったり忘れられたりするのは少々さびしい気もしますね。
調べてみると今回のように古くとも新しい発見があるのでしょうね。